03.巨石群
入谷(いりや)地区の田園風景や小川の中に、鎮座する巨石。
まるでだれかが運んで置いたかのように、その姿は唐突なのだ。入谷の人々は代々、地域に点在する石たちを神として祀ってきた。
石の平地区の巨石群はもっとも大きく、杉林の奥深くに密やかに横たわる。
地表に出ている分だけで高さ5.5メートル、長さ13メートル。その巨石には割れ目があり、こんな言い伝えがある。
『正直者はこの割れ目を通り抜けられるが、よこしまな心を持っている人は通り抜けられない。』
旧暦の10月28日、集落の人たちは、この巨石のまわりに「ツトコ明神」を祀る。
稲わらで作った「つと」はお社だ。年に一度、そこに宿る神様のためにお社を新しくする。小さなご幣束と「ツトコ明神」が、巨石の入口にいくつも祀られ、ここを訪ねる人々をじっと見つめているかのようだ。
本吉明神
昔この場所にはヨシが生い茂っていた。それはとても質がよく、平泉にいた源義経は、自らの笛のリードに、ここのヨシを使ったという逸話が伝わる。本吉明神のそばには小さな祠がある。地元の人たちが代々、この巨石を大切に祀ってきた。
坂の貝峠のなまこ石
なまこそっくりの巨石。道の脇から現れた巨大ななまこを刀で退治すると、翌朝二つに割れた巨大ななまこの形の石が沢にころがっていたという。
林際(はやしぎわ)の続き石
重なっているこの石の下を掘ると、さらに七つの石が重なっていると言われている。