海の見えるカフェにあふれる笑顔
震災がなければこの二人は出会っていなかった。
千葉馨さんと嘉苗さんは、この春結婚し、トレーラーハウスのカフェかなっぺを
歌津・馬場中山地区にオープンするする予定だ。
横浜でイタリアンレストランをやっていたことのある嘉苗さんが、調理を担当する。
嘉苗さんが作る料理を、地元の人は『お菓子ごはん』と呼ぶ。
新鮮で最高の食材がとれる南三陸では、素材そのままを食べることが多い。
「でも、ウニクリームパスタも食べられたらすてきだと思うんです。歌津の食材で作ったお菓子
ごはんを、地元の人たちにも楽しんでほしい。」
南三陸にこれまでなかった場所を創り出そうと、千葉夫妻は夢をふくらませている。
馬場中山地区は被災後、大津波による瓦礫ですべての道が寸断され、
地域の人々はみんなで力を合わせて、窮地をしのいだ。
馨さんはいち早くブログを立ち上げて地区の情報を発信した。
その情報が、全国や世界からの支援物資やボランティアを集めた。
その時始めた情報発信は、一日も休まず続けている。
南三陸の再生のためには、世界中の人たちを地域に呼び込み続け、
つながり続けることが大切だと二人は考えている。
嘉苗さんは被災地で飼い主がいなくなってやせ細っている動物を見て、
いても立ってもいられなくなり、4月、会社の有給休暇をとり、乗用車に動物のエサを積める
だけ積んで福島に向かった。あっという間にエサはなくなり、気づけば道に迷っていた。
通りかかった自衛隊に護衛されるようにして石巻、そして南三陸へと北上した。
偶然にたどり着いた南三陸町で、嘉苗さんは、500人が避難していた名足保育園での食事作りを
2週間手伝う。月1回の歌津通いがこうして始まった。
「方言がわからなくて大変で、通訳が必要でした。」通訳してくれたひとりが馨さんだった。
今年4月の結婚式では、震災後馬場中山の人たちが山の上に切り拓いた避難路「未来道」がバージ
ンロードになった。地域の方が山から切り出した竹でアーチが作られ、漁師が使うパレットが祭壇になった。
そこに集まったみんなが最高の笑顔だった。こういう笑顔のある場所に人は集まると、二人は言う。
嘉苗さん自身がすでにそれを実証している。海外のリゾート地に引けを取らない美しい海を見ながら、
おいしいコーヒーでほっと一息つく場所、カフェかなっぺ。
地域の人たちも都会や海外からのお客さんも、みんなが笑顔になるカフェを作る二人の二人三脚が始まる。
※「カフェかなっぺ」は先月の27日に無事オープンいたしました!
Kaoru Chiba/Kanae Chiba
If there had not been the Great East Japan Earthquake, Kaoru
Chiba would not have met Kanae. They got married and
opened CAFÉ CANAPE in a trailer house in Baba-Nakayama
in the Utatsu district. In Minamisanriku where the best and
freshest ingredients are available, people are apt to eat them
raw. “However, it would be nice if we could eat pasta cooked
in a sea-urchin cream sauce,” Kanae says. Mr. and Mrs.
Chiba’s hearts are filled with dreams of creating such a
restaurant that Minamisanriku has never known before.
After the disaster when all roads were cut off by the debris
carried by the huge tsunami into the Baba-Nakayama area,
Kaoru promptly launched a blog and sent information on
the condition of the district, thus leading to supplies of
relief goods and attracting volunteers.
Immediately after the earthquake, Kanae took a paid leave
from her company and went north to Minamisanriku where
she worked preparing meals for victims at the evacuation
center for two weeks. In this way, her visit to Utatsu once a
month started.
“I had problems understanding what people were saying in
the dialect” Some people helped interpret for her and one of these interpreters was Kaoru.
In their wedding ceremony held this past April, the bride’s walk down the aisle was along the
evacuation passage “Miraido (Future Road)” that people in the Baba-Nakayama area built at the
top of the hills. Everyone that gathered there had their best smile on. The couple says that people
gather where there is such a smile. The fact that Kanae was attracted to this place proves this.
CAFÉ CANAPE is a place where visitors can relax over a cup of coffee while viewing the beautiful
sea equal in beauty to any famous overseas resort. The couple has just started to build a café
together where everyone ― local residents and overseas visitors alike ― want to smile at each other