南三陸町には、イベントが始まった途端に行列ができるほど大人気のキッチンカーがあるのを知っていますか?「自然卵のクレープ from 大沼農園」は、クレープの美味しさはもちろん、店主の大沼ほのかさんの明るく真っ直ぐな人柄で多くのリピーターを集めています。
たくさんのメニューがある中でファンが多いのは、野菜や果物を使った期間限定メニューです。実はそれらの野菜や果物は、大沼さんが自ら育てたものなのです。2019年に宮城県農業大学校を卒業後、南三陸町の入谷地区で就農した大沼さん。今年で農家4年目を迎える大沼さんの新たな挑戦と目標について伺ってきました。
実は3度目の挑戦!?「今年こそ栗の木を育てたい」
大沼さんは南三陸町入谷地区で、サツマイモや桃、ブルーベリーなどを育てています。2023年の目標は新たに栗の木を育てることだそうです。小学生のとき、栗拾いをして、友達みんなで食べたり配ったりした楽しさが印象に残っているという大沼さん。卒業論文でも栗について書き上げるほど、栗への思い入れが強いようです。しかし、栗の栽培は大沼さんの想像していた以上に大変だといいます。
「2020年から栗園を始めたいと思って、栗の新植に挑戦していたんです。苗木は立派なものだったんですが、植えてから2ヶ月でほぼすべての木が枯れてしまったんです。病気でも、虫でもなく、枯れた原因が分からなくて。2021年は植え方や施肥設計を変えて再挑戦してみたんですが、結果は同じ。この時は本当に心が折れかけて、何度も栗の木が全滅するフラッシュバックを夢で見て、焦りながら飛び起きるという日々でした」
大沼さんは諦めることなく、2022年は栗の木の大苗育成(1年間育成し、大きくした苗を畑に植えること)にチャレンジすることにしました。植樹するまでの期間も栗に関する勉強を続け、茨城県で行われた全国クリ研究協議会に参加。多くの栗農家さんの研究や経験談を参考にしながら、いよいよ今年の春に3度目の植え付けを行う予定です。
借りた土地の栗の木も管理。地道な作業にも前向きに取り組む!
2023年から、新たな農作地を借りた大沼さん。その土地には何本もの栗の木が立っています。足元に雪も残る中、大沼さんは栗の枝を切っていきます。栗の剪定時期は、12月~3月ごろの木の休眠期におこなうのだといいます。
「知り合いの方からチェーンソーで切ってもらうこともあるんですけど、こまめに自分で剪定もしていますね。自然に落ちた栗の実は出荷できなくて、シートを引いて一本ずつ落として収穫するんです。だから、収穫のしやすさや日光の当たり方を考えながら枝を管理するように心がけています」
力を使う剪定作業は好きだという大沼さん。苦手な作業はイガ栗拾いだと言います。雪に隠れていましたが、辺りにはたくさんのイガ栗が落ちています。
「収穫せずに放置しているイガ栗には、虫や病原菌が住み着いているんです。これを残したまま冬を越してしまうと、木に病気が移ってしまうんです。だから、ここに落ちているイガ栗を春までにすべて拾っておかないといけないんです。先日、2人で1日中作業して120キロのイガ栗を拾ったんですけど、まだまだたくさん落ちているんですよ。あと何日あれば終わるんだろうって感じですよね。でも、落ちている栗の1個1個がすごく大きいんです。ここの栗を上手く育てたら、今年は栗のモンブランをクレープでも出せるかもな〜って思って、イガ栗拾いを頑張ります」
いつか入谷で果樹園と併設したカフェをつくりたい
大沼さんは、いずれは果樹園併設のカフェを開きたいと考えているそうです。
「私や他の農家さんがつくった果物や野菜を使った料理を提供しつつ、農作業体験もできるようなカフェを作るのが夢なんです。栗が欲しいなって思ったら、すぐそこの栗園からとってくるっていうような、そんな環境が理想ですね。自分や知り合いの農家さんの畑を見渡せるような景色の良い場所に建てられたらいいなぁと思っています。私が小学生のころ、栗拾いをするのが楽しかったように、農業の楽しさに触れられる場所を作りたいですね」
上手くいかないこともたくさんありながら、日々の地道な作業と試行錯誤を続け、前向きに農業と向き合う大沼さん。これまでもたくさんの課題を乗り越えて、美味しい果物や野菜を育ててきたのだろうなと感じられます。目標である栗園、そしてカフェができるのもそう遠くはないはずです。明るい笑顔で、これからも農業と向き合い続けていくのだろうなと感じました。
【自然卵のクレープfrom大沼農園】
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