たかとも(20)です。
…ごめんなさい…。
今日は自己紹介すらできる状況じゃないです。
たった今、僕は拉致されています。
ここがどこかも、誰に拉致されているかもわかりません。
薄暗い部屋のテーブルにひとり座っている状況?だと思います。
多分、この状況から察するに
「ヤバイ組織」に捕まっていることは確かです。
「すみませーん!誰かいませんか〜?!」
とりあえず叫んでみる。
…誰の声も聞こえない。
気味の悪いどんよりとした静寂が部屋を包み込む。
しばらくひっそりと座っていると
「カタカタカタ…」
「おっ…お化け?!」
お化けとジェットコースターとパクチーだけは大の苦手な僕は、恐怖に慄いた。
「カタカタカタカタ…!」
待てど待てども音は鳴り止まない。
余計に大きくなっていっている。
なにが起こるかわからない恐怖に僕は目を閉じた。
ドサッ…!
「ヒイッ!?」
多分、大人の手くらいサイズのなにかが
上から目の前に落ちてきたのだろう。
恐る恐るゆっくりと目を開けた…
「なんだただの海苔か。」
僕はホッと胸を撫で下ろした。
目の前には海苔とご飯があった。美味しそう。
よく前を見るとカメラらしきものもある。一応カメラに向かってポージング。
…この状況、誰かに見られていることは確か。
無理に抵抗でもすれば、身の保証はない。
とりあえず
自分の身を案じてしばらくじっとしていることにした。
食え…
「?」
食え!
「!?」
まるで大男のような、ドスの効いた低くて大きい声。絶対に普通の人間じゃない。
誰の声かもわからない恐怖で頭が真っ白になりそうだったが
考えてみればそうだ。
海苔はあったかいご飯で食べるのと
冷たいご飯で食べるのとでは
全然味の印象が違う。
普通のカメラで撮った自撮りとSNOWで撮った自撮りくらい印象が違う。
せっかくの美味しい海苔を台無しにするところだった…
南三陸出身の人間として失格だ…!
ご飯が冷めないうちに海苔とご飯をいただいていくことにした。
1杯目
お米を海苔で巻いてパクリ。
パリパリとした食感が心地よく
噛む度に磯の香りとほんのり効いた甘みが口の中に広がる。
「この味、昔食べたことあるような」
どこか懐かしさも感じるような、そんな味だった。
「…というか、本当に食べたことがある気が…何の海苔だっけ…?」
なんて考えていると、手元から冷たい視線を感じた。
海苔だ。
海苔が早くご飯に包まりたい、暖まりたいと僕に訴えかけてくる。
海苔は寂しがり屋でご飯は冷めやすいタイプだから…
間髪入れず海苔とご飯を出会わさなければ…彼らは長続きしないだろう。
そうだ、これは海苔とご飯が手元にある者の使命だ。
それから彼らに悲しい思いをさせぬよう、ご飯と海苔を食べ続けることにした。
1杯目完食
かかった時間 | 3分20秒 |
食べた海苔の枚数 | 5枚 |
満腹度 | ★★☆☆☆ |
2杯目
「はー美味しかった!」
1杯目を難なく食べてきってしまったが、これでいいのだろうか。
…何とも幸せな人体実験である。
しかし、1杯だけじゃ
20歳のお腹を満足させることはできない。
次のご飯を待つ。
もう一度、海の香りとご飯の暖かさを感じたい。
海苔とご飯の恋の行く末をもう一度見たい…!
(まるで自分の恋愛に満足できず、恋愛ドラマにどっぷりハマるあの感じ。)
すると、どういうことか…
2杯目のご飯が目の前に、ぱっと出現した。(どういう仕組み)
2杯目を食べ進めるうちに2つのことに気がついた。
- 今食べている海苔は「小さい頃大好きだった海苔」であること
- 食べ進めていくうちに箸が止まらなくなってしまっていること
小さい頃に大好きだった海苔
名前は思い出せないが
小さい頃しょっちゅうこの海苔でご飯を食べていた。
この味付け海苔で僕は成長したといっても過言ではない。
小学生の時に友達と喧嘩したり、テストの点数が悪かったり、徒競走で転んだり。
中学生の時には好きな子に振られたり、部活でいい結果が残せなかったりした。
落ち込んでしまってご飯が喉を通らない時も
この味付け海苔をまけば
不思議と箸が進んだ。
この海苔が僕の青春時代の明日をつくる力になっていたのだ。
しかし…海苔の
「名前が…思い出せないッ!!!」(屈辱)
なんだろう、イメージ的には
<日本昔話っぽい>パッケージだった気がする。
とモヤを抱えつつも、箸は進む…
2杯目もうまかった!!
かかった時間 | 4分23秒 |
食べた海苔の枚数 | 8枚 |
満腹度 | ★★★☆☆ |
3杯目
食べ進めるうちに箸が止まらなくなってしまう。
この時点で、もう僕の箸は止まらなくなくなっていた。
この海苔のすごいところは
「パリパリの食感と飽きのこない優しい味つけ」のシナジー効果。
世の中にはたくさんの海苔があるが、そのバランスにおいて「この海苔」は
頭ひとつ抜けている。
…無我夢中でどんぶりをかきこむ。考える隙すらない。
海苔とご飯の熱い恋愛を側で眺めるうちに
どうやら僕も海苔を好きになってしまったらしい。浜の三角関係である。
それから数十分後…
限界を超えて食べ過ぎてしまった僕は
意識が朦朧としていた。
ぼんやりとした意識の中で
「拉致した奴ら」の話している声が聞こえた。
「やはり、『黒のTNR』の効果は本当だったんですね…。」
「ああ…想像以上だ…」
「そうだ、黒のTNRって、たつ…たつの…」
バタッ…
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ライター/たかとも
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