国立嘉義高級中学様(台湾)【化石発掘体験】実施レポート
■実施概要
【日時】2023年7月22日 13:30~15:00
【団体】国立嘉義高級中学様
【人数】20名
南三陸町歌津地区は、実は化石の宝庫。東日本大震災以前にも、約2億4000万~2億5000万年前の三畳紀に生息していたといわれる世界最古級の魚竜化石が見つかり、「歌津」の名を冠した「ウタツサウルス」で注目を集めていました。しかし、魚竜化石などを展示していた「魚竜館」は東日本大震災で被災。貴重な資料も多くが流出してしまいました。
そんななか、震災後の高台移転などの復旧工事現場から、新たな化石や遺跡が数多く発見。なかには新種の化石や世界的に希少な化石などもあり、貴重な資源の宝庫として再注目されています。
歌津泊浜で漁業を営む髙橋直哉さんは、震災後、化石を発見したり、研究者と出会うなかで化石のおもしろさに魅了されたと話します。「化石を見つけやすい環境で、車で20~30分の距離で、1億年分の時代を歩めるのが南三陸のすごさ」と髙橋さん。
そんな高橋さんが企画する「化石発掘体験」は、南三陸町観光協会の一般向け体験プログラムとしても大人気のプログラム。リピーターも多く、販売間もなく完売するほどの盛況ぶりです。
今回は南三陸町に約2週間滞在している台湾の高校生が体験しました。
発掘を始める前に、高橋さんがイラストを使ってどんな化石が出るのかを紹介します。レア度を星の数で表示。植物化石は星2、アンモナイトは星3、魚と魚竜はもっともレアな星5です!
「石を見ながら、もしかして化石かな?と思ったらすぐに声をかけてください」と高橋さんが話します。
「台湾にも化石は出て博物館もあるけど、発掘体験ははじめて!」と話す生徒たち。「魚竜見つけるぞ!」「アンモナイト探す!」など意気込んでスタート!
思い思いの場所で化石を探す生徒たち。果たしてどんな化石が見つかるのでしょうか…?!
「見つけた!」 開始早々に声が上がり、生徒たちが次々と高橋さんのところに石を持ってきます。
一見すると、ただの石の模様にも見えますが、光に当てたり、角度を変えて見てみると、黒い光沢感が見られます。それが化石。徐々にコツを掴んできた生徒たちはどんどんと高橋さんのもとへ駆け寄っていきます。
「植物の化石です!星2」
「おおー、すごい!嚢頭類(のうとうるい)だね。よく見つけました」と星4つの化石も。
「アンモナイトが密集してる!いい状態の化石が見つかりました」とアンモナイトも続々発見。
「これはエビの化石です!これもとっても珍しい化石です」とレア度が高い化石も見つかりはじめ、生徒たちの化石を探す目にも、より気合が入ります。
そんななか、一人の生徒が持ってきた化石をルーペで丁寧に見る高橋さん。その眼差しは真剣そのもの。なんだかこれまでと様子が違います。期待が高まるなか…
「これは、おそらく魚の骨だと思います!ものすごい貴重な化石かもしれません!」と大発見が!星5の化石発見に大盛りあがり。
「この化石は研究のために預かりたいと思います!」
体験時間は約1時間。発見された化石が積み上がるほどのたくさんの化石が見つかりました。
「今日はものすごい発見もあり、アンモナイトもきれいな状態で見つかりました。また、たくさん密集しているのもあったり、植物の化石もたくさん見つけることができました。私も鑑定していて非常に楽しい時間でした。ありがとうございました!」と高橋さん。
1人1枚、自分が見つけた化石のカードをプレゼントして終了。
「すごい面白かった。珍しい化石を見つけることができてうれしい。ありがとうございます」と体験した生徒たちも目を細めます。
「まだまだ、たくさんの新種化石が発見され、研究が追いついていないものもあります。化石の町としてもっともっと可能性がある」と高橋さんは話します。
太古にロマンを抱きながら、自然の中でその雄大さと町の魅力を知るプログラム。大好評の化石発掘体験を教育旅行のプログラムに取り入れるのも面白いかもしれません。もしかすると、新種化石の大発見があるかも!?