対日理解促進交流プログラム「MIRAI」 オンライン・プログラム実施レポート
外務省が推進する国際交流事業、対日理解促進交流プログラム「MIRAI」(※)の一環として、欧州諸国の大学生・大学院生を対象としたオンラインプログラムを開催しました。
南三陸町で実施したオンラインプログラムでは、地域の方々との交流を通して日本文化を体験するとともに、防災や復興について考え、双方の理解を深める時間となりました。
■実施概要
名称:対日理解促進交流プログラム「MIRAI」 オンライン・プログラム
日時:2022年3月22日(火) 17:00~19:00 (日本時間)
対象:欧州諸国の大学生・大学院生17名
言語:英語
実施団体:一般財団法人 日本国際協力センター(JICE)
※対日理解交流プログラム「MIRAI」とは、
日本の文化や、歴史及び外交政策に関する理解を深めるとともに、親日派・知日派を発掘することで、日本の魅力等を積極的に発信してもらい、国際社会における対日イメージの向上や日本への持続的な関心の増進に寄与することを目的としています。
<プログラム概要>
バーチャルまちあるき語り部 45分
質疑応答 15分
ホームビジット(各家庭での日本文化体験) 60分
感想発表 5分
今回のプログラムでは、JICE様主催の元、当協会が現地の受け入れ家庭のコーディネートや語り部の手配を実施することにより、オンラインで対日理解を深める内容のプログラムを提供しました。
オンラインプログラム開始後、まず当協会が提供している「バーチャルまちあるき語り部」を受講していただきました。
「バーチャルまちあるき語り部」とは、360度カメラを使用することで、ご自宅にいてもまるで現地にいるかのような臨場感を味わいながら東日本大震災の体験談を視聴するプログラムです。
当日、語り部ガイドを務めたのは佐藤慶治さん(震災当時、高校2年生)。佐藤さんの被災体験に参加者の皆さんは興味深そうに耳を傾けており、震災前と後で大きく変わってしまった町の景色に驚きを隠せないようでした。実際に避難する際の状況などの質問も参加者から寄せられ、佐藤さんが丁寧に事実とその時の感情を織り交ぜて答えました。
バーチャルまちあるき語り部が終了後、参加者は小グループに分かれて南三陸の家庭をオンラインで訪問(ホームビジット)していきました。
ホームビジットは、5つの家庭に分かれて実施。参加学生と各家庭のホストが互いに自己紹介をしたのち、着物や家庭料理、南三陸の伝統文化などを紹介し、参加者と交流を深めていきました。
〈各家庭での紹介した日本文化の例〉
・南三陸の漁師料理(アワビ、牡蠣、ホヤ、ワカメ等産地ならではの旬の料理紹介)
・行山流水戸辺鹿子躍(南三陸町を代表する伝統芸能の一つ)
・「かま神さま」(かまどの神、火の神として南三陸に伝わる飾り)
・キリコ(三陸沿岸部に伝わる神棚へお供えする飾り)
参加者は、各家庭が紹介するもの以外にも、画面に映りこんだ各家庭の暮らしぶりに興味を示していました。「ベッドがなくてどうやって寝ているの?」「玄関の鍵の掛け方を知りたい」など参加者からの質問も多く、どの家庭も日本の暮らしから始まる文化への理解が深まっていったようでした。
ホームビジットの受け入れ先の家庭からは、「多文化交流が出来て楽しかった」や「参加者が積極的に質問してくれて、興味を持ってくれたことを実感できて嬉しかった」などの声が聞こえてきました。
今回のプログラムに参加した欧州諸国の学生は、各家庭が紹介した日本に根付く伝統文化や料理のみならず、家庭の日常的な風景にも興味を示していました。本やインターネットの情報だけでは知り得なかった情報が、各家庭へまるで訪問したような体験となり、日本文化への理解が深まる機会となったと思います。新型コロナウイルスの影響で来日が難しい中、実際にオンラインで繋ぎ、日本の文化や歴史に触れたことにより、日本へのイメージや興味関心をより深めていただけたのではないでしょうか。
新型コロナウイルス拡大により、国内外において往来が思うように出来ない日々が続いています。しかし、今回の交流で、双方の理解が深まり、互いの国への訪問のきっかけとなることがわかりました。今後も、様々な方法を模索しながら継続的な国際交流を行っていきたいと思います。