向上高等学校様【交流型宿泊体験】体験レポート_2025年

■実施概要

【日時】2025年1月29日(水)~1泊2日

【団体】向上高等学校(神奈川県)

【内容】「交流型宿泊施設プラン」交流体験

【人数】94名

■体験レポート

地域ならではの文化を感じる「体験付き」宿泊

コロナ禍を経て、教育旅行の有り方は変化してきています。しかし、旅行先での地域の方々との温かい交流が、生徒たちに多様な価値観や文化との出会いをもたらすことは、今も昔も変わりません。

南三陸町の「交流型宿泊施設プラン」では、「民泊」のような交流要素を持ちつつ、宿泊施設として整った民宿やペンションが提供する、体験付き宿泊プランです。実は、南三陸町の民宿・ペンションの多くは、漁業や農業との兼業で営まれています。そのため、オーナー自ら収穫した新鮮な魚介類や農産物が食卓に並んだり、オーナーの人柄や地域文化が反映された宿作りが大きな魅力なのです。

各宿泊施設では、わかめの芯抜き、タコ茹で、ローカルフード作りなど、地域ならではの体験プログラムを提供します。生徒たちは、実際に手を動かしながら土地の暮らしや価値観を学び、交流を深めることができます。

今回は、2025年1月に「交流型民宿分宿プラン」を利用された神奈川県の向上高校様の交流の様子をレポートします。

 

農家のおやつ「がんづき」作り体験

今回取材に伺ったのは、元気な女将さんが切り盛りする「民宿コクボ荘」。ここでは、宮城のローカルフードである「がんづき作り」と、女将さんの震災体験のお話をプログラムとして提供しています。

「がんづきっていうのは、ここいらへんで昔からよく食べられてるおやつ。農作業の合間に、簡単に作れて、腹持ちがいいのよ。みんなで作ってみましょう!」

今回参加するのは16名の生徒さんたち。用意されていたエプロンを着用して準備万端。2つのテーブルに別れて早速がんづき作りの開始です。

材料を測ったり、かき混ぜたりといった小さな作業一つするのにも、笑いが絶えない生徒のみなさん。女将さんは明るく声をかけながら、生徒たちをサポートします。

「今だったらふくらし粉を使うでしょうけど、昔ながらのやり方は、重曹を使うの。
ふくらし粉は縦にふくらむけど、重曹は横に膨らむからね、食感が違うのよ」

生地ができたら、大きな蒸し器で蒸し上げます。型を使わず直接クッキングペーパーを敷いて流し込むのも、昔ながらの作り方です。

出来上がったがんづきを味見した生徒たちからは、「初めての味!味噌の風味が奥深くて、ごまの香ばしさが効いてる!」と感動の声が上がりました。

 

あの日からの記録が語る、民宿再建の道のり

がんづきを蒸している間の20分間、女将さんの震災体験の話を聞きます。

震災で自宅と民宿を流され、2013年に今の場所に再建を果たした女将さん。「私いつも手帳を持ち歩いているんだけど、あの時も、1日ごとに何があったかって日記を書いていたの。」そう言って見せてくれたのは、日記の文章と、デジカメに残ってた写真を時系列ごとに並べたスライドショーでした。

津波が襲ってくる直前、海底が見える程に波が引いた海の様子。

その後、すごい勢いで海が盛り上がって船や家屋を飲み込んでいく一部始終。

町の主要な道路や建物の被災の様子。

そして、たくさんの思い出が宿った民宿の無惨な姿を目の当たりにした日・・・。

それ以降は、民宿の再建を軸に、女将さんの歩みを追います。

ボランティアさんと、被災した民宿の後片付けをした日。

民宿の解体が決まった日。

解体されて、基礎だけになった日。

震災後、初めて水揚げをした日。

民宿の工事が始まった日。

厨房機器が搬入された日。

ボランティアさんが応援に駆けつけてくれた日・・・。

女将さんの一行足らずの日記の言葉から、その一つ一つの出来事が、女将さんにとってどれほど大きなことかが伝わってきます。

「記録って大切よね。こうやって一歩一歩進んできたんだなって振り返ると、超えられない坂はないんだって思うもの。」力強く話す女将さんの言葉に、生徒さんたちは真剣に耳を傾けていました。

体験後、生徒さんに感想を伺いました。

「ニュースなどでは、大まかな情報しか得られないけど、女将さんの視点で1日ごとに見せていただくことで、自分の住んでいた場所が被災したというのが、どんな気持ちで、そこからどんな思いで民宿を再建されたかっていうのを、リアルに想像することができました。」

「写真を見て、自分がもしこの場所にいたらどうしていただろうと想像しました。私たちも、いつ災害に合うかわからないので、自分たちの地域に、高台はあるのか、とか、その時に家族とどうやって連絡を取り合おうとか、ペットはどうしようとか、心構えをしておきたいと思いました」

短い時間の中でも、しっかり吸収して、持ち帰ろうとしている姿が印象的でした。

奉仕の心を育てる旅

引率の先生は、今回の体験についてこう話します。 「本校では『心の教育』を大切にし、年間を通じてさまざまなボランティア活動に取り組んでいます。今回は、311メモリアルで語り部の話を聞いた後にこのプログラムに参加したことで、生徒たちもより深く感じるものがあったと思います。」

南三陸町には、豊かな自然や歴史、文化に加え、温かい人々との交流を通じて、生徒たちの心に残る教育旅行を提供できる魅力があります。

「交流型宿泊施設プラン」以外にも、さまざまな体験学習プログラムを用意しております。ぜひ南三陸町観光協会にご相談ください。

 

・南三陸町体験学習プログラムに関する詳細はこちらから

南三陸町体験学習プログラム | 未来を育む、まなび旅。- 南三陸町観光協会運営

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