仙台市立愛宕中学校様【田束山トレッキング】実施レポート
■実施概要
【日時】2022年5月6日 9:30~12:30
【団体】仙台市立愛宕中学校様
【人数】40名
南三陸町には、古くから山岳信仰の霊山として人々の信仰を集めてきた田束山(たつがねさん)があります。
標高は512mで、山頂直近まで車で行くことができます。
頂上からは、360°景色を見渡すことができ、町内にとどまらず、気仙沼、金華山、栗駒高原を一望できます。
特に晴れた日には、志津川湾の水平線がはっきりとしていて、空と海のコントラストを鮮やかに見ることができます。
今回は、かつて修行僧が歩いた登山道「行者の道」を歩いて、田束山の頂上を目指す、田束山トレッキングを体験してもらいました。
今回の講師は、おきなくらEELsのガイドのみなさんです。
おきなくらEELsは、南三陸町とその近隣地域において、シーカヤックやSUP、スノーケリングなどの自然で遊び、学べるプログラムを提供しています。
今回の田束山トレッキングもおきなくらEELsのプログラムの1つです。
トレッキングの前に注意事項を伝えます。
協力して登ること、ガイドの指示を守ること、自然を大切にすることなど、安全にトレッキングするために必要なことを説明しました。
その後、全員でストレッチをしました。怪我をしないように、入念に身体をほぐして、登山の準備はバッチリです。
まずは、集合場所から登山口までの細い道を約30分かけて歩きました。
1グループごとに1人のガイドがつき、ガイドを先頭に1列になって歩いて行きます。
道端には川が流れ、川のせせらぎや鳥の声が聴こえ、自然の草花などが見られました。
豊かな自然を感じながら、歩みを進めていきます。
「5月中旬ごろになると、田束山はつつじが咲くんだよ。山一面が朱色に染まってとっても綺麗なの。6〜7月は紫陽花も見られるけど、秋に紅葉を見ながら登って行くのも楽しいよ」
「そうなんだ!秋に来たかったなぁ〜」
「でも、今日くらい天気よくて、涼しいと登りやすいね〜」
ガイドや友達と会話をしながら、笑顔で歩いている様子が多く見られました。
周りの風景や会話を楽しんで、登山口へ到着。いよいよ「行者の道」へと進みます。
「行者の道」はかつて山岳信仰が盛んだった時代に、修行僧が断食をしたり、川に入って身を清めたりした修行場所と言われています。
全長1.5kmですが、未舗装で道幅が狭く、舗装された登山道よりもちょっとハードです。
しかし、いろいろな風景を楽しめる程よい難易度のコースでもあります。
人がすれ違えないような細道や木の階段、石を足場にして渡る川。
舗装されていない道はバランスを考えて歩かないといけないため、結構神経を使います。
足元に目線を落としながら、慎重に歩いていきます。
会話や笑顔は最初より少なくなり、表情や歩き方から疲労感が伺えました。
しかし、そんな中でも、
「ここ滑るから気をつけてね」
「大丈夫?ゆっくりでいいよ!」
「後から来る人たち、この道大丈夫かなぁ」
「ちょっと休憩しようか。水分補給してねー!」
など、グループ内で声をかけ合い、互いに気遣い合いながら歩いている様子が見られました。
最初のころよりも歩くペースは落ち、息を上げている姿も見受けられました。
けれども、みんなと一緒に歩いているということが心の支えになったのか、一歩一歩、歩みを止めずに進んでいました。
行者の道を通り抜け、頂上まであと少し。
気持ちに少し余裕が生まれたのか、徐々に笑顔が戻ってきました。
そして、念願の田束山の頂上へ到着しました。
そこからの景色をしばらく堪能します。天気がよく、雲が少ない空模様だったので、学校の授業で習ったリアス海岸がくっきりと伺えます。
たくさん写真を撮ったり、ベンチに座って眺めたりしていました。
最後に頂上で記念撮影をした後、帰りはバスで下山しました。
参加した生徒からは
「すっごく疲れた。苔まみれの階段が滑りそうで、特にキツかった。でも、頂上に着いたら、風は気持ちいいし、景色も綺麗でいい経験になった」
「しんどかったけど、同じグループの人と普段しない話ができて、気分転換になった。途中滑って大変だったけど、友達と協力して登れてよかった」
と達成感に満ちた笑顔で、感想を聞くことができました。
引率した先生からは
「前半はとばしていて楽しそうだったけど、後半はみんなすごくバテてた。けれど、諦めずに最後まで登っていて、いい経験になったと思う。またの機会に来て、他の生徒達にも紹介したい」
「リアス海岸が一望できるこの景色を生徒達に見せたくてプログラムを選んだ。頂上までバスで上がることも考えましたが、自分の足で山に登った方が印象に残ると思いトレッキングにした。私たち教員もキツかったけど、生徒達がこの景色を見て、達成感を感じているみたいでよかった」
と感想をいただきました。
田束山の頂上から見る景色は、車で上り眺めてももちろん美しいですが、少しキツイ思いをして自分の足で頂上までの道を歩く。
そうして見る景色は、より特別に感じられ、より鮮明に記憶に残るのではないでしょうか。さらに、頂上へ登り切った達成感とそこからの景色を仲間と共有できたことで、感慨もひとしおだったことでしょう。