京都市立西京高等学校様【交流型宿泊施設プラン】実施レポート
■交流型宿泊施設プラン
■実施概要
【日時】2022年10月3日 15:30~18:00
【団体】京都市立西京高等学校様
【人数】58名
教育旅行の醍醐味は、普段なかなか行けない地方へ行けること、馴染みのない体験を楽しめること、その地の文化や仕事を目で見て学べるということ、などたくさんあります。
中でも、その地の人と交流を深められることは大きな醍醐味です。
実際、町民との交流の中で南三陸町の雰囲気や温かさを知れたという声をたくさんいただきます。
南三陸町観光協会では、教育旅行や研修旅行向けに、町の人と交流しながら泊まれる、交流型民宿分宿プランをご用意しています。
町内の約10軒の宿泊施設に分かれ、施設ごとに魚捌き見学やたこ茹で講座、農作業やそば打ち体験などの体験プログラムを行います。
今回はその宿泊施設の1つ、津の宮荘さんの体験プログラムの様子をご紹介します。
津の宮荘は、漁師のご主人が毎朝水揚げする魚介類を使った料理が自慢で、お話好きな女将さんと人懐こい看板猫が迎えてくれる民宿です。
昭和のレトロな雰囲気と部屋から見下ろせる志津川湾の景色に、時間を忘れてのんびりしてしまうという宿泊客の方もいらっしゃるのだとか。
そんな津の宮荘では、地元で収穫された食材が食卓に上るまでを体験することができます。
チェックイン後、3つのテーブルに分かれて、最初にわかめの仕分け作業を行います。
テーブルの上には大きなバケツが置いてあり、その中には大量のわかめが入っています。
津の宮荘のご主人、須藤徹さんがやり方を説明します。
「わかめを持ち上げてもらうと、ちぢれている葉の部分と茎の部分があるのが分かるかな。まず、元葉(茎の根本の部分)を下から上に切り込みを入れてとってね。そうしたら、芯抜きという、葉と茎を分ける作業をやってもらいます。ちょっと切り込みを入れて、今度は上から下に割いていってね」
須藤さんの説明を聞いた後、1人ずつわかめを手に取ります。
「わかめってこんな長いの!?」
参加者の皆さんは、わかめというと、スーパーで販売されているカット済みのわかめや乾燥わかめの印象が強いようです。
馴染みがないわかめの状態に戸惑いながらも、仕分け作業を進めていきます。
須藤さんも参加者の皆さんの様子を見て回りながら、気さくに声をかけていました。
「君たちなかなかいいね。その調子でやってね」
「がんばってやれば何かいいことがあるかもしれないよ〜」
「おぉ!上手です。来シーズン、わかめの芯抜き作業のアルバイトに来てほしいくらい!」
須藤さんの褒め言葉にちょっと照れくさそうな笑みを浮かべながら、参加者の皆さんはもくもくと作業を進めていました。
最後に、お土産に持って帰れるようにと、1人1人にマチつきのビニール袋が渡されました。参加者の皆さんは、袋いっぱいにわかめを詰め込んでいました。
つづいて、魚捌き体験です。
今回は、須藤さんがその日に獲ってきたイナダを捌きます。
最初に須藤さんが素早い手捌きで頭を切り落とし、片面をおろして見せました。
その後に希望者数名が魚捌きに挑戦します。
3枚におろしたイナダは、参加者の皆さんの夕食で刺身として出されます。
魚捌きの順番がきた参加者は、責任重大だ、と少し緊張の面持ちで包丁を握ります。
魚を初めて捌くという方も多かったので、須藤さんはやり方を見せたり、一緒に包丁を持ったりしながら、捌き方をレクチャーします。
「ここに骨があるのは分かる?この中骨に沿って、少しずつ包丁を進めていってね。魚が滑りやすいから、左手でタオルを持って押さえてやるんだよ」
「腹から尾にかけて切れ目を入れたら、半回転して反対側にも同じように切れ目を入れて。そうしたら片身が剥がせるから。おぉ、やっぱり普段から料理しているだけあってうまいね〜」
「最後に尻尾のところに切り込みを入れてね!・・・あぁ!尻尾を切り落としちゃったの?次の人、ちょっとやりづらいと思うけど、まぁ…頑張ってみようか」
須藤さんの気さくな教え方や声かけで、参加者の皆さんも緊張が解けた様子でした。
魚を捌いている途中、看板猫のミケちゃんが魚を目がけて、テーブルに飛び乗ってくるというハプニングもありましたが、みんなで笑いながら過ごしている様子が印象的でした。
魚捌き体験の後、夕食まで時間があるとのことで、参加者の皆さんは歩いて海を見にいき、町の自然や雰囲気を自由に堪能できたようです。
たくさん歩いてきた後、待ちに待った夕食の時間です。
津の宮荘は、食事の品数が多いことで観光客からも定評があるのですが、今回出された夕食も参加者がびっくりするほどのボリュームです。
刺身盛りは各自ということで、みんなで捌いたイナダをはじめとしたお刺身を、1人2切れずつ盛り付けていきます。自分やクラスメイトが捌いたイナダの味が気になるようで、いただきますの号令の後、多くの人が一番にイナダに箸をのばしていました。
京都からいらっしゃった皆さんは、東北自体初めての方も多く、はっと汁やホヤなど、食べたことがない食材も多かったようです。
最初に食べたクラスメイトに、どんな味?と聞きながら、恐る恐る食べている様子が見られました。
夕食中、
「東北のご飯ってどれもこんなにうまいんだ!」
「ご飯おかわりしよう」
「これ食べた?めっちゃうまい」
という声があちこちから聞こえるほど、楽しそうに、満足そうに過ごしている様子が見られました。
食材そのものの味はもちろんのこと、須藤さんの人柄に触れ、その須藤さんが作った料理だと分かって食べたことで、より美味しさや満足感、温かみを感じられたのかもしれません。
交流型民宿分宿プランでは、他の宿泊施設もアットホームな雰囲気で、津の宮荘とは違う体験を楽しむこともできます。ただ宿泊するだけでなく、体験も交流もできる本プラン。
教育旅行を楽しむ1つのエッセンスとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。