さいたま市立白幡中学校様【南三陸SDGsアクティブラーニング~海洋ゴミ問題解決を探求する!~】
開催場所:南三陸海のビジターセンター
講師:平井和也(海のビジターセンター所長)
■南三陸SDGsアクティブラーニング~海洋ゴミ問題解決を探求する!~
■実施概要
【日時】2023年5月23日 9:30~12:00
【団体】さいたま市立白幡中学校
【人数】18名
いま南三陸の海ではあらゆる環境問題を目の当たりにすることがあり、その解決策は南三陸の人々だけでなく、この土地に足を運んでくれた人々がそれぞれの立場から向き合える課題となっています。2015年9月に国連サミットで採択された2030年までの持続可能な目標(SDGs)の中にも、海への環境の目標があります。目標14で示されている「 海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する 」というもの。今回のプログラムでは、マイクロプラスチックに焦点をあてて、問題と解決策をアクティブラーニング形式で学んでいきます。
いま、世界中の海で起きていることを知ることから
今回講師を務めるのは、南三陸・海のビジターセンターの所長である平井和也さん。平井さんは、1999年から2013年まで沖縄をフィールドにした地域主体のエコツーリズム推進に携わってきました。
まず、生徒に見せたのは、何枚かの海の写真。その中から、お気に入りを見つけてもらう事からプログラム開始。
息をのむような美しい海の写真の中に、海には似合わないものたちが多く映っている写真が生徒の元には1枚ずつありました。平井さんが以前に活動されていた沖縄の西表島で撮影した20年前の写真。西表島といえば、原生林があり豊かな自然が残っている場所。
そんな場所が、20年前からゴミでビーチが埋め尽くされていました。
更に驚くべきことに20年間ずっとビーチクリーンを行っているのにゴミは減るどころか増えているということ。
生徒たちも、驚くべき事実に平井さんの話す言葉に耳を傾けていました。
実際に写真で見るだけでなく、生徒のグループそれぞれに実際の砂浜が入った小さなバケツが用意されていました。これを「小さなビーチ」とし、平井さんからミッションが与えられました。それはこのビーチの中からゴミを選別すること。
普段、海のない場所で生活している埼玉の学生には小さなビーチも新鮮です。
ゴミと自然のものの区別も始めは難しそうでしたが、講師の方々に質問しながら集中して作業をしていきます。
この小さなビーチは、決して仕込んでいたからゴミが多く出た訳ではなく、沖縄の海の環境をそのまま持ってきたと言います。
では、実際のリアルな海岸はどうなっているのでしょう?
南三陸の海岸へ講師と一緒にゴミ拾い(ビーチクリーン)をしながら現状を知るフィールドワークへ。
久しぶりの海に気分も上がりながら、ゴミを協力しながら見つけていきます。
「これもゴミかな?」「こんな大きなものまであるんだ!」
そんな風に実際に海岸に存在するゴミたちを集めながら気付きを得ていきました。
この日集めたのは、燃えないゴミ、燃えるゴミ合わせて1袋。
生徒みんなで協力して海岸を綺麗にしたことは海を守るための第1歩。
ビーチクリーンで気づかなかったゴミ「マイクロプラスチック」って?
先ほどみんなで協力して集めたゴミたち。ペットボトルや缶、何かの破片など色が明るかったり大きさが一定あり目立つものを集めてきました。
しかし、どうやら海の中にはもっと目を見開いて探さないといけないゴミがあるそうです。
それが、マイクロプラスチックです。プラスチックが粉砕され、5ミリメートル以下の微細になったものを指し、世界の海では、50兆個以上のプラスチックが漂っているとのこと。
プログラムの始めにゴミの分別をした小さなビーチから改めて小さなプラスチックがないか班分けされたグループで見ていきます。
ピンセットで砂の中から見つける作業で、生徒の集中力も一気に上がります。
思った以上に多くのマイクロプラスチックが小さなビーチからも発見されました。
みんなで拾ったゴミ(「プラスチック」)って何が問題なのでしょう?
始めに拾ったゴミも、小さなマイクロプラスチックも景観が悪くなる以外にどんな問題があるのでしょう?
海の生き物たちが食べ物と間違って海に浮いているプラスチックを食べてしまっていること、プラスチックに有害物質が付着しやすいこと等を教えていただきました。
また日本にも海外から多くのプラスチックが流れ混んでいるが、日本初のゴミも海外に多く流れ着いていることも共有されました。
海の生き物たちがプラスチックを吸収することによって、私たちは間接的にプラスチックを食べていることも研究結果でわかっているそうです。
自分たちが食べているとなれば、ぐっと身近に感じますよね。
マイクロプラスチックは「海がある場所」だけの問題ではなく、「自分ごと」の問題です。
みんなで、どうやったら解決できるか考えてみよう!
今まで活動してきたグループそれぞれで、今回時間をかけて学んだプラスチック問題を自分たちができることで「どんなことができるか」考えて、書き出してもらいました。
「海が近くにないけど、どんな事ができるのかな?」「プラスチックでできているものってなんだろう?」そんな風に議論しながら、各班ごとに書き出した解決策を発表してもらいました。
「一生モノを選ぶ」「昔の人の生活をマネする」など暮らし方から、「マイボトルを持つ」「布マスクに変える」など小さなアクションも生徒さんたちから声が上がりました!
最後に、平井さんから「自分たちの時代で生み出してしまった問題でもあると思っているから出来るアクションを精一杯やろうと思っています。このプラスチックの問題は、これからの未来を過ごす君たちが、どんな未来にしたいかで行動を起こすことが大事。今日の時間が何かの気づきになったら嬉しい」と締めくくりました。
海の環境が身近じゃない生徒さんたちにとっても、世界で起きている問題を「自分ごと」として知り、感じとれた時間だったのではと思います。
ここからひとつでも小さな行動に繋がりますように。